十一面サンタの仏像ばなし

大好きな仏像の魅力を、独断と偏見で書き綴ります。

平等院 雑感(平等院鳳凰堂1)

京都・平等院に行ってきました。

台風の名残で終日雨模様の日曜日、
休日とはいえ、そんなにお客もいないだろうからゆっくり参拝しようと思っていたのですが、行ってみるとそこそこの混雑具合。
大勢の人たちが、大雨の中、写真を撮っておられます。(ぼくも)
平安寺院の集客力最強伝説は健在でした。

このお寺の目玉は、
(1)鳳凰をモチーフにした鳳凰堂」(本堂・国宝)

(2)仏師・定朝作阿弥陀如来座像」(国宝)

(3)「雲中供養菩薩」 52体(国宝)

泣いても笑ってもこの3つです。

鳳凰堂は、建立後千年以上経つにも拘わらず、朱の塗装が半分以上残っていて、
そのハゲハゲに残っている朱の色が、古色蒼然、「良い意味でのボロボロ感」、またはウェザリング効果、
要は、すげー格好いいカラーリングになってます。
奈良と違って、千年帝国の貴族のお寺は、お手入れのレベルが違う。

中の大きな御本尊と、その上の天蓋も、金箔がきれいに残っていて、荘厳という言葉がそのまま当てはまります。
思わず、ほぅ…っと声が出る。

ところで、現在の保存改修作業は「現状維持」が鉄則。
現状のまま劣化しないように、また一切付け加えてもいけません。
だから仏像は基本、くたびれた仏像はくたびれたままで保存されています。
でも、この阿弥陀像の顔は、以前はかなり剥落が激しく、平成の大改修のとき金箔を張り直したそうです。ちょっとズルいです。
言わなければ分からないし、こっちの方がいいからいいけど。でもズルいのはズルいです。

本尊の周りには(正確には左右)52人の「雲中供養菩薩」が飛び回っています。
極楽へ誘う阿弥陀如来のお供としてやってくる、菩薩の音楽隊です。
笛や太鼓を演奏したり、ダンスを踊ったり、お経を読んだり。

内、半分の26体は取り外されて、敷地内のミュージアムニ展示、より近くで見ることができるようになっています。

52人もいたら性格も様々なのでしょう。
妙にハジけて踊る菩薩、クールに奏でる菩薩、イヤイヤしてるのがバレバレな菩薩、何で私には楽器がないの?と寂しそうな菩薩。
別々の仏師が作ったのかと思えるほど。
ノリノリな菩薩を見ると、やはり見ている方も楽しいのですが、ここにはそんな菩薩が少なかったように思います。

そういう意味では、ぼくは奈良・当麻寺浄土変相(画像3)の菩薩像の方が面白くて好きなんですが、みなさんはいかがでしょう。[