十一面サンタの仏像ばなし

大好きな仏像の魅力を、独断と偏見で書き綴ります。

平安セレブ堂(平等院鳳凰堂2)

◉巨額を投じたエンターテイメント大作

前回のつづき。

東寺もそうでしたが、有力者が贅の限りを尽くした仏像や堂宇。鳳凰堂もそっち系です。
その中でも、このお寺は特にセレブの遊び心が満載です。

鳳凰堂はかつて、藤原氏の別荘だったのですが、
別荘をレゴブロック感覚で、フェニックスの形に作ろうとする発想がすでにセレブ。

鳳凰堂の両端の回廊、つまり翼にあたる場所ですが、
回廊部分は独立していて、本尊のいる中堂から渡ったりできません。
ただの飾り。単に「フェニックスの翼部」にすぎないそうです。

お寺になると、阿弥陀来迎のジオラマを作ったり、これは東寺の立体曼荼羅的セレブです。


お寺といっても、宗派なんてないし、開基した僧侶だって、明尊っていう左遷されてたお坊さんが雇われてる。そこでケチるか! 全然やる気がありません。

阿弥陀様を拝むと極楽に行けるらしいから、まあ、お寺にしてみようか」とか。

でもサービス精神は旺盛です。
昔は宇治川を挟んで誰でも拝むことができ、ちょうど阿弥陀様の顔が見えるように、壁を切り抜いています。

また、本尊の背後から西日が入って、西方極楽浄土から阿弥陀様が、光と共に来迎したように見える仕掛けもあったそうです。

仏への帰依はそこそこに、でもその完成度の高いこと。

低予算のインディーズ(奈良時代)が大ヒットしたから、巨額の制作費で続編(平安時代)を作ったのか。
奈良と京都の仏閣を比べてみたとき、ぼくは何かそういうイメージを禁じ得ないのですが、どうでしょう。
寺院や仏像マニアが、奈良派と京都派に分かれるのも当然のような気がします。

遊び心はミュージアムの売店にもあって、52体の雲中供養菩薩のトランプが売られてました。
旨い具合に52枚。その手があったか、という感じです。
買って帰って部屋の壁の上の方にズラッとちりばめたら鳳凰堂になるじゃないか! と本気で悩みました。

大金持ちが、趣味と道楽とサービス精神で建てた寺。
京都にはそんな貴族の遊び心満載の寺院がいくつかあります。
京都見仏は、そんな寺から攻めていこうかな。


最後に、お堂と阿弥陀と菩薩の他に、お気に入りをご紹介。
屋根の上の鳳凰です。

現在、実際に屋根の上に乗っているのは複製品で、本物はミュージアムで間近に見ることができます。
今のアニメやゲームのキャラクターとして、そのまま使えると思いませんか。
時代を超えた名作です。

平等院(H25年現在修理のため拝観停止)
 拝観時間 午前8:30〜午後5:30 (午後5:15 受付終了)
 拝観料 600円
 駐車場あり(無料)


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