十一面サンタの仏像ばなし

大好きな仏像の魅力を、独断と偏見で書き綴ります。

秘仏・大元帥明王、現る!!(秋篠寺)

 

この日記の第2回で、心のふるさとである秋篠寺のことを書きました。
いつ詣ってもいい感じに閑散として、心が安らぐこのお寺ですが、
今日は事情が違います。

開門前から長蛇の列。

夏の光に照り映える苔の絨毯を横目に、
40分ほど並んだところでようやく入山できました。

今日は、秘仏・「大元帥明王(タイゲンミョウオウ)」が一般公開されるという特別な日なのです。

さらに秋篠寺の御朱印は、毎年この日だけしか受け付けないという、もはや"秘朱印"。

このWマル秘デーに、早朝から老若男女がお祭り騒ぎ。
奇しくもこの日は金星の太陽面通過という天体ショーの真っ最中で、
日蝕グラスをかざしながら並ぶ面々も。
お寺さんも参拝者も、今日は年に一度の勝負の日なのです。

実は、一昨年の平城遷都1300年記念の長期開帳の時に、
大元帥明王は穴が開くほど拝めているので、
今日は当時貰えなかった御朱印を頂くことがメインです。
平日ながら奇跡的に休暇をいただけたので、
伎芸天のお導きこれ幸い、と飛んできたというわけです。

御朱印帳を受付に預けて、いざ秘仏のおわす「大元堂」へ。
当然ながらお堂の前にも長い行列が。

太陽の照りつける中、じりじりと10分ほどかけて明王の御前に。
一面六臂の憤怒の形相、18匹の蛇を体に巻き付ける。
ロンパった眼光は鬼気迫り、
人差し指をいきり立てた憤怒印で邪気を封じる、全国でも希有の明王像です。
袴部分に残るまばゆい極彩色が、制作当初の面影を伝えています。
やっぱり迫力あるな…

と感慨にふける間もなく、後ろから押し出されるように面会終了。
外陣でしばし拝んでから、大元堂を後にしました。

さて本堂では1年ぶりの伎芸天です。
ひしめく25体の仏像をしみじみと浮かび上がらせる蝋燭の炎の効果もあってか、
参拝客が多数あれど、その厳かな雰囲気が、ぼくと伎芸天を、二人だけの空間に浸らせます。

 また来たよ。 よくきたね。
なんて、思い出話を交わして、ノスタルジックな気分…。
つまりは妄想全開だったわけなのですが。

我に返って50分後、受付に戻ってみると、ぼくの御朱印帳をちょうど書き始めたとのこと。
奥間では数人の職員さんが必死で、山積みの御朱印帳に筆を走らせています。
今日一日、この部屋は戦争状態なのでしょう。

みなさんお疲れ様でした。
でもやっぱりふるさとは、
地味でも平和がいいですね。

●秋篠寺
 拝観時間 AM9:00〜PM4:30
 拝観料 500円
 駐車場あり(無料)


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