十一面サンタの仏像ばなし

大好きな仏像の魅力を、独断と偏見で書き綴ります。

「聖(セイント)☆おにいさん」/中村光・著【講談社】

聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)
聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)

今更ですが、筆休め的に超有名なコミック本を。
月刊「モーニング・ツー」で連載中の、
手塚治虫文化賞短編賞受賞作品。
基本、1話完結です。

一応、軽くあらすじを。

かつて悟りを得て如来となったブッダと、
今も人々の心に無条件の慈悲を与え続けるイエス・キリスト。
主人公はこのふたり。
本人です。

ふたりの聖人が、天上界から下界へバカンスに降りてきて、
東京の安アパートに同居しながら、
超科学が支配した現代社会の中で、
ごく普通の生活を送ったらどうなるか、
という変な設定。

モノにまみれた現代で、ふたりの心は煩悩まみれ。
でも、それに逆らわずのびのびと羽を伸ばして下界生活を満喫します。

ふたりは普通の現代人でいようと努力しますが、
ちょっと気を抜くと、聖人の本領が発揮されて、
後光が射すわ、動物が寄ってくるわ、触ったものがパンになるわ、
アナンダ、梵天、ウリエル、ヨハネ、
天上のお節介な弟子たちが、平凡な暮らしを乱しに来るわ。
聖人の生活は穏やかには終われない。

ネトゲにはまって散財するイエスを相手に、経費をやりくりし倹約生活に励むブッダ。
M-1目指すコンビ名は、「パンチとロン毛」
ケンカしながらも、慈しみ合って生きる、人間くさい聖人ふたり。

超シュールな笑いが人気を呼んで、間もなく第8巻が発売予定です。

ネタが分からない人のために、専門用語や教典エピソードなど、
元ネタを巻ごとに解説してくれている、神のようなサイト(これはすごい!)まで誕生し、
密かなブームの真っ最中です。

この作品に信仰心はありません。
あるのは仏典、聖書の、膨大な量の雑学と、それを駆使したギャグネタのみ。
深く考えずに宗教ギャグの海を渡っているうちに、知らず知らずに、聖書仏典の知識が深まるかもよ。

でも徳は積めません。多分。
お好きな方はどうぞ。