十一面サンタの仏像ばなし

大好きな仏像の魅力を、独断と偏見で書き綴ります。

召喚される神仏(RPG的 密教入門2)

前回の続き。

密教の呪文(真言)で召喚される神仏は、主なものだけでも約100種以上に及びます。
それぞれが独特な姿かたちをしていて、自慢の武器や乗り物、また特殊能力を持っています。
例えば

★攻撃系
不動明王
炎の龍に変わり敵を貫く、無敵のクリカラ剣

孔雀明王
孔雀に乗り、害を及ぼす毒蛇や毒虫を一匹残らず駆逐する

普賢菩薩
大地を揺るがし、大魔王の宮殿さえ倒壊させるオーラパワー

★回復系
薬師如来
全員のHPやステータス異常を全回復させる。
12人の闘神と84000人の夜叉に守られている

地蔵菩薩
神通力で全員のダメージを身代わりに引き受ける

★オールマイティ
大日如来
究極にして最強の仏。
万物の源であり、全宇宙を包み込む無限の光であり、宇宙そのものでもあるという謎の存在。
最終奥義を極めた者だけが出会うことができ、自身も仏になることができる。

観音菩薩
助けを求める悲鳴を察知する千里眼
あらゆる状況に応じて33種の職業に転職して人を救う。

などなど。
また、それぞれにサイトストーリーまで用意されています。
有名どころを紹介しますと、

弥勒菩薩
お釈迦さまが生前、自分亡き後の世界を託したのが、この弥勒菩薩
次にこの世界に如来となって降臨(仏教的には来迎といいますが)し、民を導くのはこの弥勒菩薩なのである。
その時期は今から56億7千万年後。
仏の時間では一瞬の時間なのだが…

★阿修羅
帝釈天に娘を騙し取られ、怒り狂った阿修羅は、鬼神となって何度も帝釈天に戦いを挑むがそのつど敗れ、ついには修羅道に落とされたところをお釈迦さまに救われる


さて、そんな多種多様な神仏を召喚して、フルに活用するのが真言宗です。
だから、真言宗のお寺には多種多様なかっこいい仏像が祀られていて見仏には最適なのですね。

平安時代は、陰陽師という占星術師が国の技官として働いていました。
ようするに、魔法のようなものが奨励、研究されて、どんどん発達していた時代です。
当時の科学では解明できない災厄を、鬼や悪魔、怨霊など魑魅魍魎の仕業として、それを打ち倒す力が必要とされていたんです。
召喚魔法を使う密教が大流行したのも頷けます。

でもこれは程度の差はあれど今も昔も変わりません。
現在でも、解明できない失踪事件とかを、本気でUFOのせいにしたりしますもんね。
悪運が続くとお祓いに行ったりもしますし、当時の人々を笑えるのはまだまだ先になりそうです。

(注)本文はあくまで仏像のキャラクターのみに注目したもので す。
真言宗弘法大師空海の教義に基づいたもので、呪術に依存する宗教ではありません。念のため。