京都デビュー(東寺1)
◉日本一の五重塔
奈良の秘仏公開ラッシュが落ち着いてきたので、京都まで足を延ばそうと、
五重塔初層が特別公開中の「東寺」を参拝しました。
別名、教王護国寺。
仏の力で国を護るためのお寺です。
奈良、興福寺の五重塔は、高さ約50m、
日本一高い東寺の塔は、5m高い55m、
たかが5mの差、まぁ見た目はそう変わらんだろうと、気楽に構えて行ったところが、
どうしてどうして、
想像を超えたデカさでした。
あぁ、これが55mの迫力か…
たかが5m、侮りがたし。
興福寺の塔をはるかに凌ぐ、圧倒的な存在感が迫ってきます。
まるで、人力車とベンツ。
鈍行列車と新幹線。
興福寺と東寺の塔にはそれほどの違いすら感じます。
デカくてスゴいのは高さのみならず、
胴回りも興福寺の二まわりは太くてゴツい。
圧倒的存在感の正体は、実は高さ5mの差ではなく、
この胴回りの骨太さが醸す重量感にあったのだと確信しました。
◉何から何までケタ外れ
塔だけ取ってみてもそうなのだから、
その他の伽藍ともなると、規模だけでなく、
豪華な建築様式が半端なく美しかったりします。
当然、安置された仏像もマハラジャ級で、
例えば、
仏教世界を描いた曼荼羅は、仏画など平面図で表されるのが普通なのですが、
ここではそれを
「立体曼荼羅」
と称して仏像で作ってしまいました。
いわば仏像ジオラマ。
金持ちの道楽としか思えない、常軌を逸した贅の極み。
常軌を逸しているといえば、
食堂(じきどう)には火災で丸焼けになった四天王が公開されています。
もはやただの炭塊と化し、
目鼻の区別どころか、
よく見ないと仏像であることすら気づかないであろう真っ黒な物体の表面を、
修復することなくそのままコーティングして展示しているのであります。
これぞ究極の現状保存といえますが、そこまでやりますか、京都はっ。
なんだか生き恥を晒されているようで、四天王がかわいそうに思えますが、壮絶な時代の流れを感じられます。
少し妙に感じたのは、
東寺には、
金堂の薬師三尊や十二神将、塔内の四仏坐像など、
他につわものどもが揃っているにも拘わらず、
パンフレットの表紙やポスターなどにはなぜだか、
立体曼荼羅の隅っこで控えめに座っている、小さな梵天さまが使われているということです。(写真)
驚きの大抜擢。
というか、
なんで梵天でなければならなかったのか、考えてみました。
つづく